エイプカスタムその44.Ape100のエンジンオイル交換【規定量・トルク・手順を実作業で解説】

📋 この記事でわかること
- Ape100のエンジンオイル交換が特に重要な理由(オイルフィルターが無い)
- 用意する部品・オイル・工具と、マグネットドレンボルトを使う意味
- 交換手順7ステップと、やけど・締めすぎを避けるコツ
- 規定量0.9L・締め付けトルク25N・mという具体的な数値
- オイルレベルゲージの正しい見方(ねじ込むと誤測定する)
- 交換時期の目安と、1年以上あけてしまった実例
これまでカスタムの話ばかり書いてきましたが、今回はいちばん基本的な整備であるエンジンオイル交換です。
正直に書くと、推奨は3,000kmまたは半年に1回のところ、1年以上交換しないまま乗っていました。カスタムパーツを組むのは楽しいのに、地味な整備はつい後回しになってしまう——同じ状態の方もいるのではないかと思います。
実際にやってみると、使う工具はメガネレンチとトルクレンチの2本だけ。ドレンボルトの位置も奥まっておらず、すぐ手が届きます。車のオイル交換と比べると拍子抜けするほど簡単でした。
Ape100にオイル交換が効く理由——フィルターが無いから汚れが溜まる
Ape100のエンジンオイルは、車のように「エンジンだけ」を潤滑しているわけではありません。ミッションとクラッチも同じオイルで潤滑しています。ギアが噛み合う場所を通るぶん、オイルには金属の摩耗粉が混ざりやすい構造です。
そしてもうひとつ重要なのが、Ape100にはオイルフィルターが付いていないという点です。車や大型バイクなら、フィルターが汚れを受け止めてくれます。Apeにはその受け皿がないので、汚れはオイルの中に留まり続けます。
つまり、オイル量が少ない(交換時0.9L)うえに、汚れを濾す仕組みもない。交換サイクルを守ることがそのままエンジンの寿命に直結するタイプのエンジンです。1年以上放置していた自分が言うのも何ですが、ここはケチらないほうがいい部分でした。
用意したもの【部品・オイル・工具】
部品・消耗品
- ホンダ ウルトラG2……今回使ったオイル。メーカー指定はG1ですが、G2はその上のグレードです。どちらも部分合成油で、G1で不足というわけではありません。交換量が0.9Lなので1L缶を1本買えば足ります
- ドレンワッシャー……M12サイズ。毎回必ず新品に交換します(理由は後述)
- SP武川 マグネットドレンボルト(青)……先端に磁石が入っていて、オイル中の鉄粉を吸着してくれるボルト。フィルターのないApeとは相性が良い部品です
- ポイパック……廃油処理箱。オイルを吸わせてそのまま捨てられます
- ニトリル手袋……オイルは手に付くとなかなか落ちません
マグネットドレンボルトについて補足すると、これはフィルターが無いApeの弱点を補う部品です。ミッションから出た鉄粉を磁石が集めてくれるので、次に交換するときボルト先端を見れば、どれくらい摩耗粉が出ているかも分かります。1回付ければ次からは繰り返し使えるので、費用対効果は悪くありません。
工具
- メガネレンチ……ドレンボルトを緩める用
- トルクレンチ……締めるときに使います。これは省略しないほうがいい工具です
トルクレンチを勧める理由は、ドレンボルトがアルミのクランクケースにねじ込まれているからです。感覚だけで締めると、締めすぎてケース側のネジ山を潰してしまうことがあります。そうなるとオイルが漏れ続け、修理はケース交換という大ごとになります。数千円のトルクレンチでそのリスクを消せるなら安いものです。
Ape100オイル交換の手順【7ステップ】
- エンジンを掛けてオイルを温める。冷えたオイルは粘りが強く、抜け切りません。数分アイドリングさせる程度で十分です。温めすぎないこと——熱々のオイルは火傷します。手で触れる程度が目安です
- ポイパックをドレンボルトの真下に置く。オイルは勢いよく出るので、受け口は少し広めに構えておくと安心です
- ドレンボルトをレンチで緩め、最後は手で回して外す。緩んだ瞬間にオイルが流れ出すので、手にかからないようさっと引き抜きます。ボルトを落とすとポイパックの中に沈むので、しっかり握っておいてください
- 車体を立てて、オイルを出し切る。スタンドを掛けたままだと車体が傾いていて、内部にオイルが残ります。車体を垂直に起こしてやると、残っていたぶんが出てきます。しばらく放置して、滴が止まるまで待ちます
- ドレンワッシャーを新品に替え、規定トルクで締める。締め付けトルクは25N・m(2.5kgf・m)です
- 注入口から規定量のオイルを入れる。交換時の量は0.9L(全容量は1.1Lですが、交換で入れるのは0.9Lです)
- 注入口のキャップを締めて完了。エンジンを掛けて、ドレンボルトから滲みが無いか確認しておくと万全です
⚠️ ここだけは省略しないでください
- ドレンワッシャーは毎回新品に。あれは締め付けで潰れることで密閉する部品です。一度潰れたものを再使用すると、同じトルクで締めてもオイルが滲みます。1枚数十円なので必ず新品を使ってください
- 締めすぎない。相手はアルミです。「もう少し」が命取りになります。トルクレンチが鳴ったらそこで止めます
- オイルを抜いたまま絶対にエンジンを掛けない。数秒でも焼き付きます
オイル量の確認——ゲージはねじ込まずに差すだけ
入れ終わったらレベルゲージで量を確認しますが、ここに見落としやすい落とし穴があります。
Apeのオイルレベルゲージは、ねじ込まずに差し込んだだけの状態で読みます。ネジを締め込むとゲージが深く入りすぎて、実際より多く入っているように見えてしまいます。それを信じてオイルを抜くと、今度は量が足りなくなります。
車体をまっすぐ立てた状態で、ゲージを拭いてから差し込み、上限と下限の間にあることを確認してください。0.9Lを計って入れていれば、まず問題のない位置に収まっているはずです。
交換時期の目安と、1年以上あけてしまった話
推奨される交換サイクルは走行3,000kmごと、または半年に1回です。走行距離が伸びていなくても、時間が経てばオイルは酸化して性能が落ちるので、期間のほうも目安になります。
冒頭に書いたとおり、私はこれを1年以上あけてしまいました。調子が悪いと感じていたわけではなく、単純に後回しにしていただけです。ただ、フィルターが無くてオイル量も少ないエンジンでこれをやるのは、あまり褒められた話ではありません。
実際にやってみて思ったのは、身構えるほどの作業ではなかったということです。工具は2本、抜いて入れるだけ、ドレンボルトの位置も手前で見つけやすい。車のオイル交換のようにジャッキアップしてアンダーカバーを外して……という手間が一切ありません。
カスタムパーツを組むより地味な作業ですが、エンジンの寿命に効くという意味では、どのカスタムよりも価値のある整備だと思います。まだやったことのない方には、ぜひ一度トライしてみてほしいです。
✅ この記事のまとめ
- Ape100はオイルフィルターが無く、ミッションも同じオイルで潤滑している。交換サイクルがそのままエンジン寿命に効く
- 交換量は0.9L(全容量1.1L)。1L缶を1本買えば足りる
- ドレンボルトの締め付けトルクは25N・m。相手がアルミなのでトルクレンチは省略しない
- ドレンワッシャーは毎回新品。潰れて密閉する部品なので再使用すると滲む
- フィルターが無いApeにはマグネットドレンボルトが有効。鉄粉を集めてくれるうえ、摩耗の状態も目視できる
- レベルゲージはねじ込まずに差して読む。締め込むと多く入っているように誤測定する
- 工具はメガネレンチとトルクレンチの2本だけ。整備の入門として最適
※バイクカスタムは手順・方法を誤ると怪我や事故の原因になる可能性があります。実施にあたっては必ず自己責任でお願いします。
当サイトにおいて紹介しているカスタムについては、予め保安基準・交通法規等を確認し法令の範囲内で実施しています。万が一そうでないケースがありましたら是非ご一報ください。よろしくお願いします。
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